2014年8月26日火曜日

追加の1日

特別な1日

刃物造りに参加しているメンバーで作業場所に近いところに住んでいるという立地条件の良さで、次回の予定の前に1日作業日を設定した。W師の助手としてお手伝い頂いているGさんと、私たち2人とでもう一回作業して一つずつ造ろうという魂胆。軟鉄の棒はW師がジョイフル本田で調達して下さり、岡安からは白紙2号の1メートルを2本購入して用意万端。

芸術の森に着いてみると既に道具が用意されていた。火はW師が点火、早速作業開始。
私の目標は、普通に売っているような切り出しナイフを作る。何せ研いでみると厚い鋼は、研ぎ出し作業の敵。90センチほどの細めの軟鉄を炉に入れて赤くし、持ち手の後の部分を丸くするように打つ。全体に赤くして、刃になる部分を決めて切りタガネで切り、刃物の大体の形を決める。切り取ったあと全体を叩いて整えてひとまず終了。

次はがね。1メートルのはがねを炉に入れて厚さを半分になるように打つ。赤くなったはがねを金床の上に出してハンマーで叩く。1回、2回、3回と叩いている打ちに色が赤くなくなる。「はがねは赤いときだけ叩くこと!」とW師の声。私の場合2回叩いたら炉に戻さないと色が黒くなってきてしまう。これが分かってから鋼が少し楽に伸ばせるようになった。で、多少のゆとりができて、叩いたところをみるとハンマーのあとが斜めについているのが見える!ハンマーの扱いに難あり!だな〜と思った。一応倍の巾になったところで切りタガネでこれも切り取り、鋼も一応ひとまず終了。今度は鍛接。

何しろ夏!暑くて、その上コークスがガンガンに燃えている。ひとまず冷蔵庫の前に避難。買い込んだペットボトルのお茶がおいしい!

助手のGさんは前回あまり上手くできなかった鍛接部分を焼きなまして再鍛接。私のも同じように試してみようかなと思いながら未だに自分でちゃんと鍛接出来ていない身では少々不安。いつかそのうちと言うことでパス。

昼食後いよいよ鍛接。また失敗したら嫌だな〜と思うと気が重い。W師に気楽に気にせずと言われながら座り始める。コークスを炉にたし、炎が上がったら、軟鉄とはがねを乗せる。赤くなったところで軟鉄を取りだし鉄ロウを振る。前にW師がしていたように素手で鉄ロウを振ったら熱い熱い!やっぱり手袋がいる!と手袋をまた付けて作業。軟鉄にはがねを重ねてコークスの上に戻す。赤くなるのを待って取り出しハンマーで叩く。一度、二度、ちょっと心配になって三度。で戻す。うーむ、着かなかったような気がする。やっぱりうまく行かなかったと再度鉄ロウを振って….やっぱりだめ。

軟鉄と鋼をそれぞれ金床の上で叩いて鉄ロウを落として再挑戦。今度はW師が見ていて、指導をしてもらう。出して叩いてとハンマーで叩いたところがやっぱりうまく行かない。赤いときだけでなく黒くなり始めて叩いてる。それでは上手く着きませんと教えてもらう。そうか、まず慣れない作業で手早くできない上に、力がないから、はがねも2回叩いたら炉に戻して伸ばしたのだから、鍛接だったら1回叩いたら戻して赤くするべきなのだと気がついたときはもう遅し!

はがねを薄くしたのが今回は凶となり、はがねが老けてぼろぼろになってしまった。もう一度はがねを切り出してあげるからやり直したらと申し出て頂いたが、今までも沢山手伝ってもらっているのでいい加減自分で出来るようにならねばと、再挑戦を次回に持ち越すことにして今日のコークス炉の作業終了。

W師は私の作業の前に約15分で一本切り出しを作っていた。スマートで小柄な切り出し。持たせてもらったが、見た目通り使い勝手がよさそう、次回はあの形を真似しよう!

炉に炭を入れて赤くし、W師と鍛接成功者の2人が焼き入れ。

そして、研ぎ。私はまだ仕上がっていない方を金盤という足つきの金属板の上で金剛砂を使っての研ぎをした。裏を研いだあと表の刃の角度を変えるべく作業。Gさんが、とぎ刃の角度を直すのに時間が掛かるので、砥石が回転する刃物研磨機で軟鉄部分を削ってくれた。おかげで大分はかどり、あとちょっとで刃物として使えそうなところまでたどり着いた。荒砥が終わったら中砥!

焼き入れをしたT氏は砥石でまず裏のはがねを平らにする作業。ところが砥石を丸く研いでいる。確認してみれば刃の裏もカーブ。裏がまっすぐにならなければ刃になりませんと言い渡されて練習。W師に力の入りすぎ!とか、肘が硬いとかいろいろ注意をもらいながら研ぎの修行。何とかまっすぐ研げるようになったかな?と言うところで今日の作業は終わり。

次回に向けての反省と課題


★ 砥石は砥石を平らなままに研ぐ、まっすぐ研げる感覚を身につける。
☆ 対策☆
ともかく練習あるのみ(W師より)

★ まず、ハンマーがしっかり降れない。
 1. がーんと打ってよく見ると面を平らに打っていない。
 2. 目標の場所にしっかり当たってない。
この2点で作業がうまくはかどらない。
☆ 対策☆
まずはハンマー(鍛造に使っている物と同じ物でなくて良い)で、何か(たとえば膝、たとえば土瓶敷、たとえば板きれ等々とW氏)を軽く叩いてハンマーを打つ感覚を覚える。いつでも打つ相手に対してまっすぐになるように打てるのが理想。

★ "やっとこ”の扱いが難しい。重いし、物を挟むときに手を動かすのが難しい。
☆ 対策☆
火ばさみでも代用できる。火ばさみの方が軽いし使いやすい。またもっと長いものもあるので火から離れられる。

(写真:ヤットコで鉄片を持っているが落としたりしたら火ばさみの方が対処しやすい)

★ 鍛接がうまく行かない。
☆ 対策☆
1. まず鉄の色をよく見て早めに炉に戻して熱い間だけ作業すること。

2.  軟鉄とはがねを別々に熱すると鉄に酸化皮膜が出来やすいし、接着面に汚れも付きやすい。W師のように手早く出来ればそれほど問題にならなくても、時間が掛かる場合は鍛接の障害になる可能性がある。これからは軟鉄とはがねを重ねてしっかり熱っし、重ねたまま取り出して、はがねを外して鉄ロウを振りまた重ねて熱する事で、接着の障害になるような皮膜や汚れを防ぐほうがよい。

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