2014年9月30日火曜日

第三回 研ぎ

第3回2日目

2014年9月21日


研ぎ

今日は僕と同じ15分で作れるなら新しい刃物作っても良いですよ〜というW師の宣言と共に、研ぎ作業に決定。昨日の作業あとを片付けてみると、最初の作業時に使ったコークスの何分の一になるのか?約10キロ、袋半分のコークスを使っただけで全員最低1本は刃物を作る事が出来ている。習うより慣れろとは良く言ったものと言う感じ。教えていただいた作業内容の半分どころか4分の1も分かっていなかったと今になって思う最初の日から考えて良くここまで来た物だとちょっと感心!

荒砥は、我が家で自分たちが使うために買った砥石とW師の手持ちの物だけだったので新たに2個かいたして、全員が研ぎをすることが出来るようにした。まず全員が刃の裏、ハガネをまっすぐに研ぐことから始めた。

私は一番最初に作った小刀のハガネの研ぎをした。刃先がしっかり鍛接出来ていないためか裏を研いでも研いでも何故か刃先の部分がきれいにまっすぐにならないと困っていたらGさんが刃物を眺めて柄の部分が曲がっているので、その曲がった部分が引っかかったときに刃先を曲げて研いでいると教えて下さった!なるほど!、と気を付けて研いでみるとその通り。砥石全部を使って研ごうとすると曲がった柄が引っかかる。やむを得ず砥石を片側だけ使って時々砥石の向きを変えることにし、しばらく研いで何とか平らにすることが出来た。次に今回作った内、最初に作った方を研ぐことにした。研いでみるとハガネはそれほど厚くはないが、均一でないと言うことが分かった。ごくわずかな凸凹を無くすだけ、とおもってもハガネは固くなかなか削れていかない。しばらく研いでは休み研いでは休みと作業を続ける。1週間掛かるかな〜?と少々あきらめの境地。多少凸凹を減らすようにグラインダーをかけていただいたが、かけていただいた部分が消えるようになってもまだ最初に付けた凸凹は消えない、と言うことは、のんびり構えないと無理と言うこと。そこで皆さんの作品を見せてもらってあとの作業は家でぼちぼちすることに変更。

作品集(?)


まずはT氏。左から最初に作った物、2回目、今回。上の写真が表、下は裏。


次はS氏。やはり左から初めての作品、今回の作品、2度目の作品。


茶色いのは、とのこ。焼き入れの時に塗った物がそのまま付いている。やはり上が表で下が裏。裏のハガネがプロの作った物のように裏になじんでいないのが納得できないと今回はハガネと軟鉄がつながる部分をなめらかに仕上げようと頑張ったとのコメントで、じっさいきれいにできていた。また、S氏の刃物は初回と今回の物は共に薄くできていて切れ味がとてもよさそう。下の写真は、デジカメ、オートフォーカスで撮したので後ろの布地に焦点が合ってしまった。それであまりはっきりしないが、それでも薄さが分かると思う。


次がHさんの作品。



 どちらが何時のか聞くの忘れちゃったけど、どちらもユニーク。使い勝手がよさそうなのでいろいろな場面で使えそう。

最後に私の作品。上から1回目、2回目、今回造った2つ。


まだ最後の小刀は裏を研いでないがこの黒い膜がほとんど無くなると裏が平らになり、その後表面を研いで刃物の形に出来るようになる。2番目の鋼は一カ所平らになりきれていない。はがねを叩くときに均一にたたけなかった部分の傷が深くて刃の部分が平らになってもへこんだままの状態だとこれで分かる。

今回、作る時になってこんなふうにと考えながら作業したが、急に考えられる物には限りがあって、皆さんのを見て回ってこれ良いな、こんな形にしたら良かったと思う部分が色々あった。で、写真も撮らせていただいたのだが、次回までに作りたい形をいくつか書いておこうと思う。最初の時は書いてあってもまったく現実とかけ離れて難の役にも立たなかったような気がしていたが、ここまで来てみると、一度書いたというのは、それなりに頭に残って形を作る上で役に立っていたと思う。次の目標は、と言うか最終目標は握りばさみを作りたいので、その形に近づけるような刃物の形、薄さを実現するようなデザインを考えたい。

さて、前日の作業中にもせっせセッセと研いでいたT氏の砥石、もともとは上の写真ぐらいの厚さがあったのですが、なぜか減りに減って下の写真のようになりました。


そして、研いでいた砥石の下に貯まった黒い砂。すくい取れるだけ使い捨てのコップにすくい取りました。どうも金剛砂のようです。人工砥石を作る会社によって砥石の固め方に差があって、上の砥石はそんなに減らないのにT氏が使った方などんどん減ってしまったようです。

固い砥石は研いでいる最中何故かまったく研げていない滑らせているだけという感じになることがあります。Gさんによると目詰まりを起こしているのじゃないかという事でした。このすくい取った金剛砂、固い荒砥にちょっと撒いてから使うと研石の目詰まりが防げるようでいいぐあいです。またすり減ってしまった砥石、このまま使うのはもう無理ですが、鎌や曲がったのみ等普通の砥石で研げないものを、砥石を手に持って研ぐ時に使えると言うことで、W師に使っていただくことにしました。


第三回

第三回、一日目

(2014年9月20日)

鍛造作業

頑張って鍛接するぞ!と思いつつ、いつもの作業場へ。天気は曇り。天気予報だと明日は雨なので、今日中に刃物は作ってしまいたい。W師がいつものように待っててくれました。残念ながらO氏夫妻は都合により不参加。従って参加者4人。早速炉の準備。まわりに囲いはもうほとんど出来上がっているのでまずは火の準備。これまでの経験で火の上にもボードをかけて光と風をふせぐようにしてある。曇天は、作業をしてみると、火の調子がよく見え非常に具合が良い。


焚き付けを燃して、コークスを入れ送風機を運転。黒いコークスがだんだんに赤く炎を上げ始める!


そこで軟鉄の棒を挿入。今日は私が一番乗り。自分じゃ撮れない写真! 誰かが撮ってくれたのでした。
新しく作る刃物の形をちゃんと考えて無くて、ともかく鍛接鍛接と思っていたので、まず作ったのは前回とほとんど同じ形。ただし刃の長さはこのまえのよりずっと長くと考えて整形。家で小さなハンマーで、空きペットボトルの蓋を叩く練習をしたのが、多少成果が出たらしく、ハンマーが狙った場所からはずれることは無くなり前回よりは、ハンマーで出来る凸凹も少なくなったような気がする。前回、柄の最後、しっぽの部分を丸めるのがうまくできずW師にお願いしたが今回は無事に完了。ついでにハガネも叩いて整形。前回に懲りて薄くしすぎない、熱いときだけ、赤いときだけ叩くと、叩いては火にいれるを繰り返して整形する。

         (写真:切りタガネに、整形した軟鉄とハガネ)
切りタガネで最後に切るときも赤くしてからと、一応今までの注意は守って作業したつもり。すべて一気に作るのがおすすめという話はあるけれど、やっぱり体力不足、力不足は否めず息切れ、一休み。私が始めると向かい側からも一人、私のあとに一人と、皆さん手順が分かってきて、作業がスムーズに進むようになってきました。


一休みし、場所が空いたところで、鉄ロウを出してまた作業。鉄ロウは買ったときビニール袋に入っていたが、小さなお椀に小分けしてつかっている。前回の残りそのままお椀にあったのでそれを持ち出した。軟鉄の上にハガネを乗せ、まず両方が同じ赤さになるまで赤くする。ここからは素早い作業が必要なのでちょっと緊張。一度頭の中でまず取り出して、ハガネを持ち上げて鉄ロウを撒いてハガネを乗せて、軽くハンマーで押さえて戻す!と、イメージトレーニング。一呼吸して実行。また赤くなるのを待って取り出しハンマーで叩く。まず刃の部分を叩いてそのまま戻し、赤くなったところでまた取りだして次の部分を叩く。これを2、3回繰り返して、付いたかな?と眺めたところでは、刃の部分は無事に接着。柄に近い部分がちょっと付きが悪い。もう一度赤くして鉄ロウをいれ叩いて一応終了。ともかくはじめて鍛接出来た!と一安心。

他の方たちもそれぞれに製造。時間を見たら私の場合、始めて2時間で一応の刃物の原型が出来上がった!のでした。「うまくなったねぇ〜!」と自画自賛。ただし、実際に触れるようになって眺めてみると柄に近い部分はやはり鍛接出来ていない状態。私の鍛接作業、もう少し改良する必要がありそう。

それぞれ自作しながら時間を見て昼食。ご近所にセブンイレブンなるコンビニがあるのでお昼を買いに徒歩で出発。この間までの作業では暑くて歩く気も起きなかったのに、秋になったらしい、作業が楽になったとご機嫌で買い出し。一休み終了後、私はもう一丁作る事にした。

二丁目はしっぽをねじった物にしてみようと計画。先に作った小刀のしっぽを細くしていると何故かねじれそうになるのでそのままねじっていけばいいのではないかと叩いて伸ばしながら少しずつねじってみた。前にW師の作った小刀で持ち手がねじられた物はもっとしっかりねじれていたのだが私のは軽く1周でお終い。そのまますーっと弓形に伸びた形にして、切りタガネで切り離した。ねじるときは万力で押さえてヤットコで回すというのが普通のやり方だったらしい。そのうちと言うことで今日はこれで満足。W師が昼休みの間に、落ちていたハガネをきれいに伸ばしたものが、私の小刀の形にぴったりあったのでこれを鍛接。今回はわきでW師が見ていて、鉄ロウを入れたあと赤くして刃物部分を叩くときに見ていてもう一度しっかり赤くしたあと全体をしっかり叩いて下さった。そして出来た刃物はしっかり鍛接して付いてない部分は少なくとも目には見えないのでした!!

焼き入れ

全員それぞれ出来上がった物を持って3時頃再度集合!これから焼き入れ。前回と同じで窯のコークスを全部掻きだし一度火を落とし、再度焚き付けから始めて炭を赤くする。さて今日の焼き入れは誰がしますか?と訊かれて、T氏とHさんはW師に依頼。私は2本作ったので、はじめのは自分で、あとのはW師に依頼。まずW師が実行。私も真似して作業。赤〜くあか〜くなったところで取りだし、ちょっと黒っぽくなるのを待ってジュッと水に入れる!すぐ取り出したら、「もうちょっと入れておく!」と声が掛かった。記憶にあった入れては出しの作業のハズが手がうまく動いてない。再度水に入れ、しばらく水に入れたあと取りだし、また火にかざしてちょっと焼き鈍し。一応出来た!と言うことで一日目終了。